反射の達人 Ustream中継の裏側

 もうそろそろ落ち着いたかなというところで、5月5日に開催されました反射の達人にご来場&ご参加、並びにUstream中継をご覧いただいた皆様、本当にありがとうございました。
反射の達人
 5/5 本放送ではユニーク視聴者数で597名もの方が、のべ512時間30分28秒に渡ってご覧いただき、最終的には1,000を超える総視聴者数をカウントいたしました。これもひとえに魅力的なコンテンツを作り上げてくださった自分以外のスタッフ、並びに参加&来場&視聴して盛り上げてくださった皆様のお力によるものだと思います。改めて御礼申し上げます。
 堅苦しい前振りは終わりとしまして、あまり期待はされていないんじゃないかなーとか思いながらも、当日ウィザウッチュNIGHT(という名前の飲み会)でお一方から「あの(Ustream中継と同じ映像を流していた)センターモニターに出していた画面ってどう作っていたの?」とご質問をいただいていたので、久しぶりにネタができたということもあり、とりとめなく書いていこうかなと思っています。

20120602-rm_tatsujin_env.jpg

 そもそも今回も前回のKAWASAKI Beatmania Championship (KBC) を開催されていた現AK-Rb(当時はまだAK-Rbというユニット名はありませんでした)のうちのお一方であるk-twoさんから、KBCと同じようにUstream中継をやってほしい、というご依頼をいただいたことから始まりました。で、せっかくなのであんなことやらこんなことやらしたいんだけどー(※実際にはもっと丁寧な書き方です^^;)、という打診がありまして、こちらで所有している機材をある程度リスト化したものをk-twoさんにお送りして、それを元にk-twoさんのほうで「やりたいこと」と「実現可能なこと」を検討しつつ配線を考えられました。
 配線についての苦労話は、いずれ掲載されるであろう6月27日に掲載されましたk-twoさんのBlogをご覧いただくとしまして(笑)その配線をもとに「だいたい大丈夫」という、最初で最後の打ち合わせをしたのが一週間前の4月30日でした。…と書くと、そんなに簡単に?とお思いになるかもしれませんが、これはk-twoさんの事前のご尽力によってそれくらいで済んでいる、ということでもあります。
 さて、打ち合わせの時には中継のイメージ図というものができあがっていまして、その形ができあがるようにこちらのほうでより具体的な機材の組み合わせや配線、使用するソフトウェアというものを決めました。中継のイメージ図と実際の放送映像を並べますと、下のようになります。(左がイメージ図、右が実際の放送映像です)
 

イメージと実際の放送映像

 
 そしてそれを実現するための、具体的な機材の配線図は以下のような形となりました。(クリックで拡大します)
 
 

配線図

 
 配線図では、大きく分けて前段のPC、後段のPCとあります。前段のPC(LIFEBOOK PH74/CN)は放送映像を作るためのPCとなっていて、映像はすべて一度ここに集約し、RGBからダウンスキャンコンバーター経由で後段のPCへ入力します。そして後段のPC(ZENBOOK UX31E)は前段で作成した映像と、ミキサー(AUDIOGRAM6)で作成した音声を合わせてUstreamへ送出するためのPCとなっています。今のPCのスペックであれば、一段でやっても問題ないとはおもうのですが、安定性のためと、実はこちらの方が色々余計なことを考えなくて済む(映像は前段PCだけ、音声はミキサーだけの操作で良く、後段PCは眺めるだけでよい)ために二段構成にしました。
 なお一部で回りくどい接続をしている箇所もありますが、これは今所有している機材、もしくは多少追加するくらいで実現可能な範囲を模索した結果、このようなことになっています。
 以下、長いですが、それぞれの機材の役割を書き殴っていきます。
DA-4DD3(生産・販売終了)
 1入力-4出力のDVI映像分配器で、会場右側のリフレク筐体につなげていました。実際には左側の筐体にもHDMI分配器を接続していたのですが、HDMI分配器ではHDMIの音声信号、またはHDCP信号かEDID信号が邪魔したのか遅延がでてしまいまして、そちらは取り外すことになってしまいました。こちらの分配器でも遅延が出ていないかひやひやしたのですが、予選でエクセが出たのは分配器が接続されていた筐体でしたし、その後の判定検証でもエクセが出ていましたので、ほぼ(※)遅延なしと判断しています。
 この分配器を経由して、一つは筐体モニターへ、もう一つは前段PC側へそれぞれ配線しました。
※2012/06/17 追記:
 「ほぼ」と書いたのは、デジタル接続において単純分配でない場合、必ず多かれ少なかれ遅延が発生するためです。それが許容できるか否か、という観点で、こちらの分配では許容できる範囲だった、ということになります。
CP-259H
 HDMI/DVIスケーラーです。DVIとHDMIは解像度と秒間フレーム数が違うため、キャプチャーカードによってはそのまま入れて映らないのを吸収するために入れています。また、今回使用した構成では480iか480pと、縦解像度が480ドットでなければ正しく入力できなかったので、リフレク筐体の映像を縮小させる役割も担っていました。
DC-HB1
 ExpressCard/34のHDMIキャプチャーカードです。DVI/HDMIを入力することは確定していたので、所有機材の中ではDC-HB1かIntensity Shuttleしか選択肢がなかったのですが、Intensity ShuttleはUSB3.0専用で、しかもExpressCard/34のUSB3.0カード経由では(間にUSB3.0 HUBを入れても)全く動作しないというシロモノでしたので、自動的にこのカードが選択されることになりました。
HDR-CX560V
 プレイ中の手元を映すためのカメラで、会場音声を集音するマイクも兼ねていました。
GV-USB2
 比較的高画質なことで知られる、S端子入力を備えるUSB2.0のキャプチャーユニットです。前段PC側では手元カメラからの映像を入力するのに、後段PC側では前段PCで合成した映像を入力するのにそれぞれ使用しました。
LIFEBOOK PH74/CN(生産・販売終了)
 入力された映像を合成して、放送映像を作るためのPCです。映像の合成には、VJ用ソフトウェアのひとつである、GrandVJを使用しました。(KBCまではNuVJでしたがコントローラーが非常に大きくかさばるので、今回からGrandVJに切り替えました)
 わざわざ映像の合成にGrandVJのようなVJソフトを使用していたのは、映像の切り替え操作が必要になることとそれを容易にしたかったということ、それにリフレク筐体で使用している画面が、反時計回り90度回転の縦画面(通常のピボットは時計回り90度回転)であるために、映像を何らかの方法で反時計回りで90度回転させる必要があったためです。
 なおGrandVJでは日本語を含む2バイト文字が扱えず、そもそもVJ用ソフトウェアということで比較的派手なエフェクトしかないこともありましたので、画面右下の文字表示用には、手前味噌ながらIrcvを改造して作成したGDIPStringsを使用しました。
nanoKONTROL2
 GrandVJに入力した映像を調整・切り替えたり、フェードイン・フェードアウトするために使用したUSB接続の小型フィジカルコントローラーです。
SC-D4
 前段PCで合成した映像を、RGBスルー出力で実況用モニターへ、S端子出力で後段PCへ出力するためのダウンスキャンコンバーターです。ただこの機種はオーバースキャンしても小さく、しかもオーバースキャン設定するのにリモコンが必要というものでしたので、大会が終了した後に手放しました。
CL1046N
 実況用のモニターとして使用した、10.4インチ4:3の小型(なのに重い)モニターです。
FVC-133
 上の図には明記していませんが、SC-D4と後段PCの間にあるS端子分配ケーブルです。アナログ信号の単純分配なのでノイズやゴーストの元になりますが、全く問題はありませんでした。
 一方は後段PCへ、もう一方はk-twoさんのPCを経由して会場のセンターモニターへ出力していました。
AUDIOGRAM6
 実際にはミキサーというよりもUSBオーディオインターフェイスなのですが、USB電源だけを供給して簡易ミキサーとして使うことができる優れものです。Ustream 放送マイクの音量調整や、会場音声の入力、それに総合司会お二方のマイクが接続されていたk-twoさんからのミキサーからの入力をここで受けています。(ただし司会マイクの音声は会場音声でも普通に拾っていたために二重に聞こえて聞き取りにくくなってしまったので、実際にはほとんど使用していませんでした)
SM58S
 Ustream実況用に、もっちーさん、かずやんさん、MASTERさんに交代でお話いただいていたマイクです。
ZENBOOK UX31E
 前段PCの映像と、ミキサーの音声を入力してUstreamへ送出するためのPCです。ソフトウェアはUstream Producer Proを使用しました。(Flash Media Encoderは自分と相性が良くないようで…)
 1入力しかないのだから、中継することだけを考えればUstream Producerでよいのですが、Proでないとローカル保存ができないため、KBCの時にライセンスを購入していました。
On-Lap 1302
 Ustreamのソーシャルストリーム(Twitter)を、実況のお三方に見ていただくために用意したモバイルモニターです。
 これ以外にも予備機材をいくつか持って行っておりましたが、ほとんど使用されることなく、最後まで乗り切ることができました。
 予選途中にはケーブル配線の途中だったということもあって中継が止まってしまったりしましたが、それ以降はおおよそ放送についてはうまくいっていました。とはいっても(依頼が来るかどうかは別として)次回への抱負というか、今回の反省点もいくつかありましたので、最後に自分の備忘録もかねて(?)まとめておきたいなと思います。
・ゲーム画面が暗かった
 液晶モニターで見ている分にはあまり暗くなかったのですが、後で録画を確認したところやっぱり暗かったですね… GrandVJからはDC-HB1 HDMIキャプチャーカードのパラメーターを調整できなくてどうにもできないなー、と当日は思っていたのですが、後になってCP-259H HDMI/DVIスケーラー側で調整できることを思い出しました…
・中継画面が小さかった
 前述しましたがSC-D4ダウンスキャンコンバーターの仕様によるものです。XPC-4であればもう少し融通が利きそうなので、次はXPC-4でリベンジ予定。
・ランキングやPowerPoint表示がカメラ経由だった
 元々k-twoさんのPCからGrandVJへの入力は考えておらず、当日朝になって出来るかも、と思ってやりかけたのですが、それがすでにk-twoさんのPCからセンターモニターに繋ぎ終わった後だったので断念しました。
 カメラ経由だとやはり見にくい上に、配信ブースとカメラの位置が離れていることでGrandVJの画面切り替え操作ができなくなってしまうので、ここは直接入力できるようにしておきたいなと。
・カードネームが見えなかった
 これは次回も難しいかもしれないのですが、実現できればいいなあということで。
 というわけでここまで反射の達人 Ustream中継について色々と絞り出しつつ書き殴ってきました。こんな長文に最後までおつきいただきありがとうございます。
 また次の機会があるのかどうかはわかりませんが、お声がけいただけたら引き続き(良い意味で)頭のわいている放送に協力出来たらなあと思っております。

“反射の達人 Ustream中継の裏側” に対するコメントはありません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください