GPD WIN2 が日本国内で取り扱われたのは一年と少しほど前になりますが、当時それなりのスペックを持つ小型の Windows 10 端末として様々な媒体に取り上げられました。
同形状のものはないものの、その後いくつかリリースされているパームトップ型もそれほどスペックは変わっておらず、小型で持ち歩き可能な Windows 10 端末として重宝していたりします。
が、欠点として比較的ファンの騒音が大きい、というものがあり、その騒音のわりには各種レビューで発熱により本来の性能が発揮できていない、ということも分かっていましたので、Indiegogo で発表されていた GPD WIN2 Third Cooling Mod のバッカーとなり、perk としてアルミモデルを選択していました。
生産のつまづきなどで大分時間はかかっていましたがようやく届きましたので、だいたいの方が銅モデルを選択する中、数少ないかもしれないアルミモデルへの換装結果を簡単にご紹介しようと思います。
GPD WIN2 はいくつかのモデルがあるようなのですが、当方が購入したモデルは2018年8月頃のモデルで、SSD スロットに謎の開口部があり、そこにフィルムが貼られているタイプです。(正確には、一般販売初期モデルを購入したら初期不良にあたり、交換後の機種がこれになりました)
交換手順は Twitter にモーメントとしてまとめられている方がいらっしゃいますし、YouTube では英語ながら動画がありますので、ここでは割愛します。これらはいずれも銅モデルで、アルミモデルでもほぼ同じ手順となりますが、唯一の違いとしてはアルミモデルは一体型なので、銅モデルで CPU と接触している銅板とその上のアルミフィンユニットの間に塗っていたグリスは必要ない、ということがあります。
焦ったのは、バッテリーの二段目がちょっと上にずれているか、またはファンの電源コネクターがちょっと下の個体だったためか、ファンの電源コネクターに邪魔されてヒートシンクが入りにくかったことですが、押し込むことで換装することに成功しました。おそらくそもそも Third Cooling Mod の設計がギリギリになっているのだと思われます。
使用したグリスはお馴染みの thermal grizzly Kryonaut ではなく、OC Master SMZ-01R を試してみています。
Intel Extreme Tuning Utility ベンチマーク
Intel Extreme Tuning Utility の XTU Benchmark を利用して性能を比較してみます。といってもこちらは全く数値上の性能差はなく、温度の変化だけですが、アルミモデルでも CPU 温度が9℃下がっていることが分かります。(下のグラフで、一番パッケージ温度が高かった位置にマウスカーソルを合わせてスクリーンショットを撮っているのですが、X軸上の線が消えてしまっているので、パッケージ温度に関しては証拠になってないですね…)
グリスが違うから温度が下がっている、という可能性もゼロではありませんが、YouTube などではグリス変更の効果が薄いという内容も上げられていますし、それはさておいても標準クーラーよりファンが静かになっていますので、それだけでも Third Cooling Mod の導入メリットはあると言えるのではないでしょうか。
ドラゴンクエストX ベンチマーク 標準品質
GPD WIN2 で FF14SB ベンチマークは頑張れなくはないものの荷が重いようなので、今回はドラゴンクエストX ベンチマークを利用してみます。
ドラゴンクエストX ベンチマークでは、HD 解像度の標準品質であればそもそも「快適」の評価になるのですが、換装するだけで(設定を変更しなくても)2割ほどスコアが伸びています。このことから、標準のクーラーでは本来の性能を発揮しにくい状態だった、ということが伺えます。
重量比較
アルミモデルの Third Cooling Mod でも十分効果がある、ということが分かったところで、最後にアルミモデルの一番の利点である重さについて比較してみます。
銅モデルでも当初予定されたものより軽量化されているようですが、アルミモデルでは SSD カバーと SSD を外した状態での比較で +11g でした。体感ではほとんど変わりませんし、この重量は Third Cooling Mod の SSD cooling option 搭載時のものですので、SSD cooling option 抜きならもっと差は縮まるでしょう。
ちなみに SSD カバーと SSD を実装したときのトータルは 484g でした。
まとめ
以前と比べて静かで、かつよく冷える割にそれほど重くならない GPD WIN2 Third Cooling Mod、かなりお勧めです。
とはいえやはり換装するのに多少ハードルがあるので、標準モデルでは難しいでしょうけれども、GPD 社で選択できるようになればいいのにな、と思いました。
オマケ:cTDP 変更と SSD cooling option の効果
標準クーラーとの比較ではありませんが、XTU で cTDP を 7W、9W、12W に変更した際の、ドラゴンクエストX ベンチマーク HD 解像度 最高品質でのスコア比較です。
BIOS で CPU、GPU、Uncore の電圧オフセットを -0.06V に設定していますが、9W と 12W ではスコア差がほとんど無く、HWMonitor による最高温度比較でもパッケージ温度は 67℃ とまったく変わらなかったので、少なくともドラゴンクエストX ベンチマークでは cTDP を 12W にする必要はなさそうです。
また SSD cooling option ですが、SSD を Transcend TS256GMTS400S に換装した状態での CrystalDiskMark(サイズは 1GB) のテストでは、ファン停止時の最高が 67℃(何故かパッケージ温度の最高と同じですが、こちらの温度測定は CrystalDiskInfo を利用しているので関連性は無いでしょう…)、ファン回転時の最高は 47℃ となりました。残念ながら SSD cooling option に搭載されているファンは Third Cooling Mod のファンよりもうるさいので常用は厳しいですが、Windows 10 のリリース更新時や、大きなアプリケーションをインストールする際には ON にしておくと良さそうですね。
“GPD WIN2 のクーラーを Third Cooling Mod アルミ版へ換装” に対するコメントはありません。