Ryzen 5950X購入&オフセット電圧調整を試みる

Ryzen 5950X

 発売日に無事 Zen3 こと第4世代 Ryzen 5000 番台を購入できました。
 元々予算の関係上 5900X を狙っていましたが、何故か 5900X よりも 5950X のほうが入荷数が多かったことと、5950X と 5900X でゲームなどでも大きな差がないということもあって、今回は当日入手できる可能性が高かった 5950X を購入しました。(もっとも、5900X の抽選に外れてもすぐに別の店舗に行けば間に合ったようですけれども)
 すでに様々なところでレビューされている製品ではあるものの、せっかくなのでいつものように Zen3 でもオフセット電圧調整を行い、良い感じになるかどうか確かめてみることにします。

2020/11/14 追記:
 当初の掲載データですが、CORSAIR iCUE と GIGABYTE AORUS Engine がわずかに邪魔をしていることが分かりましたので、これらをアンインストールして取り直しました。
 その関係で電源プランは「AMD Ryzen Balanced」から「バランス」に変更されています。せっかく取り直すことになったので、新たに CINEBENCH R15 と R23 も追加しました。


マシン構成

 本来ならば、前回 3900Xの構成と CPU 以外は同じです、とするのが適切なところなのですが、当時と GPU、HDD が入れ替わっています。そのため前回のデータと単純比較はできないことは、あらかじめご了承願います。(入れ替わった個所は赤色で示します)
 さらに、接続されている USB 機器も前回より増えており、USB オーディオインターフェイス(YAMAHA AG06 バスパワー駆動)、2.5G Ethernet(BUFFALO LUA-U3-A2G)が追加されました。前回よりもシステム消費電力では不利になる可能性があるわけですが、結果はどうなるでしょうか。


コンポーネント名 型番
ケース Corsair Obsidian Series 250D
マザーボード GIGABYTE X570 I AORUS PRO WIFI
CPU AMD Ryzen 9 5950X
CPU クーラー Corsair H100i PRO RGB
メモリー G.Skill F4-3600C19D-32GSXWB(DDR4-3200、CL=18 設定)
GPU GIGABYTE GeForce RTX 3070 EAGLE OC 8G
M.2 SSD GIGABYTE GP-ASM2NE6200TTTD
SATA SSD Crucial CT2000MX500SSD1/JP ×2
SATA HDD WesternDigital WD40EFAX
SEAGATE ST4000VN008
電源 SilverStone SST-ST70F-TI

BIOSバージョン、ドライバーバージョンと設定

 BIOS 設定やバージョン、Windows にインストールしているドライバーバージョンや設定は以下の通りです。
 本来 Ryzen 5000 シリーズにおいては、Windows の電源設定をバランスにするのが正しいらしいのですが、すっかり忘れていたので、以下のような設定で行っています。
 一通りデータを取り終わった後で AMD Chipset Drivers をインストールしなおしたところ、AMD Ryzen Balanced の電源プロファイルが自動的に消えてバランスとなったので、もう一度標準設定と -0.1V 設定のデータを取り直してみたものの、誤差の範囲で有意な差はなかったため、おそらく以下の BIOS バージョン、ドライバーバージョンでは差異がないのだと思われます。

 CORSAIR iQUE と GIGABYTE AORUS Engine アンインストールに伴いデータの取り直しを行いましたので、電源プランは「バランス」に変更、また GeForce Game Ready Driver を 457.30 に更新しました。


名称 バージョン、設定名
AMD AGESA ComboV2 1.1.0.0 C
AMD Chipset Drivers 2.10.13.408 (Release Date : 2020/10/19)
GeForce Game Ready Driver 457.09 457.30
Windows 電源プラン AMD Ryzen Balanced バランス
メモリー設定 DDR4-3200 1.20V, CL=18, tRCDRD=20, tRCDWR=20, tRP=20, tRAS=40, tRC=60

結果

 今回はすべて一枚の表にまとめました。消費電力は、前回同様システム全体の消費電力を RATOC の REX-BTWATTCH1ps_btwattch で、CPU 温度については HWiNFO の CPU (Tctl/Tdir) を取得しています。
 前回同様、ベンチマーク専用に Windows 10 をクリーンインストールしたわけではなく、セキュリティソフトや各種ソフトウェアがインストールされ、インターネットにも接続された普段使いの環境であることにご注意ください。再取得に伴って CORSAIR iQUE と GIGABYTE AORUS Engine をアンインストールしたとはいえ、一年半程度使用している環境ということになりますので、この点に関しては、前回よりも今回のほうが不利になっているということになります。


オフセット値 Auto -0.05V -0.10V -0.15V -0.2V
アイドル時消費電力(60秒平均) 80.92 W 82.23 W 82.89 W 81.43 W 80.49 W
CPU-Z Stress Test 最大消費電力(60秒) 203.51 W 204.53 W 205.23 W 208.23 W 194.41 W
CPU-Z Stress Test CPU 最高温度(60秒) 71.9 ℃ 73.3 ℃ 73.5 ℃ 76.1 ℃ 70.3 ℃
CPU-Z Benchmark Single スコア 655.8 652.0 653.8 628.4 609.6
CPU-Z Benchmark Multi スコア 11916.8 11886.7 11596.6 10990.4 10553.2
3DMark FireStrike Demo 平均消費電力 372.05 W 370.15 W 366.36 W 359.93 W 355.35 W
3DMark FireStrike Demo CPU 最高温度 79.1 ℃ 77.1 ℃ 72.4 ℃ 69.1 ℃ 65.6 ℃
3DMark FireStrike Graphics Test スコア 32740 32802 32785 32765 32795
3DMark FireStrike Physics Test スコア 37666 36756 35970 33902 33402
3DMark FireStrike Combined Test スコア 18333 18039 17631 16965 17097
3DMark FireStrike トータルスコア 30916 30779 30563 30112 30112
FF14 漆黒のヴィランズベンチ HD 最高品質 平均消費電力 371.57 W 366.33 W 359.05 W 349.29 W 339.58 W
FF14 漆黒のヴィランズベンチ HD 最高品質 CPU 最高温度 80.9 ℃ 77.6 ℃ 74.1 ℃ 70.0 ℃ 66.6 ℃
FF14 漆黒のヴィランズベンチ HD 最高品質 スコア 25597 25621 25505 24995 24378
FF14 漆黒のヴィランズベンチ HD 最高品質 平均 FPS 185.94 FPS 186.21 FPS 185.59 FPS 183.43 FPS 180.60 FPS
FF14 漆黒のヴィランズベンチ HD 最高品質 最低 FPS 74 FPS 71 FPS 69 FPS 71 FPS 69 FPS
FF15 ベンチ HD 高品質 平均消費電力 403.10 W 402.70 W 392.15 W 385.83 W 375.20 W
FF15 ベンチ HD 高品質 CPU 最高温度 83.3 ℃ 80.9 ℃ 77.1 ℃ 73.5 ℃ 69.5 ℃
FF15 ベンチ HD 高品質 スコア 12660 12855 12720 12769 12551
CINEBENCH R15 Single Thread 平均消費電力 114.94 W 112.40 W 108.43 W 106.20 W 103.03 W
CINEBENCH R15 Single Thread スコア 262 260 253 243 237
CINEBENCH R15 Multi Thread 平均消費電力 197.28 W 197.61 W 200.68 W 185.45 W 174.05 W
CINEBENCH R15 Multi Thread スコア 4281 4272 4087 3769 3781
CINEBENCH R20 Single Thread 平均消費電力 116.60 W 112.35 W 107.45 W 106.62 W 103.63 W
CINEBENCH R20 Single Thread スコア 614 611 596 591 574
CINEBENCH R20 Multi Thread 平均消費電力 196.56 W 197.87 W 198.99 W 189.38 W 178.14 W
CINEBENCH R20 Multi Thread スコア 9835 9819 9540 8783 8791
CINEBENCH R23 Single Thread 平均消費電力 113.47 W 110.81 W 106.81 W 105.18 W 103.20 W
CINEBENCH R23 Single Thread CPU 最高温度 75.8 ℃ 73.0 ℃ 70.0 ℃ 66.5 ℃ 62.9 ℃
CINEBENCH R23 Single Thread スコア 1589 1574 1539 1505 1470
CINEBENCH R23 Multi Thread 平均消費電力 195.79 W 195.98 W 196.15 W 186.72 W 176.51 W
CINEBENCH R23 Multi Thread CPU 最高温度 75.8 ℃ 75.1 ℃ 73.5 ℃ 69.8 ℃ 66.4 ℃
CINEBENCH R23 Multi Thread スコア 25265 25111 24522 22459 22525
x264 FHD Benchmark 平均消費電力 211.03 205.73 199.41 189.05 182.61
x264 FHD Benchmark CPU 最高温度 86.4 ℃ 84.1 ℃ 82.6 ℃ 78.9 ℃ 74.8 ℃
x264 FHD Benchmark FPS 86.92 FPS 84.63 FPS 84.65 FPS 80.66 FPS 78.41 FPS

まとめ

 基本的な傾向は Zen2 と変わらず、オフセット -0.10V がおいしそうなポジション、という印象もありますが、まだ AGESA の最適化の問題か、これくらいなら Auto 設定のままでも良いかな、とも思えますし、不可解な点もあります。以下雑感です。

  • 全体の傾向としては、オフセット電圧を低くすると性能は低下し、消費電力、温度も下がる
  • アイドル時の消費電力は Zen2 世代とあまり変わっていないか、やや低い印象
  • ただしアイドル時の消費電力はオフセットを低くしても下がらないうえ、そもそも安定しない
    2020/11/14 追記:安定しないのは CORSAIR iCUE と GIGABYTE AORUS Engine が合計で1%~2%くらい CPU を使用していたからで、アンインストールすることで安定しました。
  • CPU-Z の Stress Test / Benchmark はオフセット電圧を低くするとスコアが下がるものの、消費電力は -0.20V を除いてほとんど変わらない
  • オフセット電圧 -0.10V まではそこまで性能の低下は大きくないが、-0.15V からは大きく下がるのも、Zen2 世代と同じ
  • しかし Zen3 は、やはり早い
 もちろんコア・スレッド数が違うから早い、という話もありますが、CINEBENCH R20 の Single Thread でも 3900X に比べて 100 程度(20%)上回っているところは、アーキテクチャ改良の効果としてわかりやすいものではないかと思います。
 また FF14 と FF15 ベンチだけは 3900X(オフセット -0.10V) と RTX 3070 の組み合わせでスコアを取得できており、FF14 は 19126、FF15 は 12241 でした。FF14 は 12 コアないしは 16 コアも必要ないベンチマークなので(ASCII の記事では 4~6 コア程度、となっています)、GPU 負荷の低い FF14 フル HD 最高品質では CPU を変えるだけでもかなりの差が生まれた、と考えています。
 ただし、ゲーム向けという意味では 16 コア 32 スレッドも必要ないので、5900X 以下のもので十分満足できると思いますので、ゲーム用途であれば3万以上高い CPU を買う代わりに、GPU 代金に割り当てたほうが幸せになるでしょう(笑)


CORSAIR iQUE&GIGABYTE AORUS ENGINE アンインストール前のデータ

 1~2%とはいえ、微妙に CPU を利用しているプロセスが存在すると、そこそこ影響を受ける例、ということで、以前取得したデータも残しておきます。


オフセット値 Auto -0.05V -0.10V -0.15V -0.2V
アイドル時消費電力(60秒平均) 82.86 W 82.15 W 80.47 W 82.08 W 83.36 W
CPU-Z Stress Test 最大消費電力(60秒) 204.48 W 203.70 W 205.64 W 208.05 W 194.05 W
CPU-Z Stress Test CPU 最高温度(60秒) 74.0 ℃ 74.4 ℃ 73.8 ℃ 76.0 ℃ 68.4 ℃
CPU-Z Benchmark Single スコア 647.6 641.9 646.1 625.5 608.6
CPU-Z Benchmark Multi スコア 11695.4 11661.2 11457.7 10619.0 10293.8
3DMark FireStrike Demo 平均消費電力 385.12 W 380.35 W 370.86 W 364.32 W 356.80 W
3DMark FireStrike Demo CPU 最高温度 81.8 ℃ 80.6 ℃ 75.1 ℃ 71.0 ℃ 66.6 ℃
3DMark FireStrike Graphics Test スコア 32739 32660 32743 32734 32806
3DMark FireStrike Physics Test スコア 36596 36456 35455 33721 32878
3DMark FireStrike Combined Test スコア 17767 17849 17665 17658 17045
3DMark FireStrike トータルスコア 30641 30598 30490 30281 30038
FF14 漆黒のヴィランズベンチ HD 最高品質 平均消費電力 370.34 W 367.56 W 359.70 W 350.67 W 340.92 W
FF14 漆黒のヴィランズベンチ HD 最高品質 CPU 最高温度 81.3 ℃ 78.6 ℃ 73.9 ℃ 70.9 ℃ 67.0 ℃
FF14 漆黒のヴィランズベンチ HD 最高品質 スコア 25195 25139 25247 24824 24435
FF14 漆黒のヴィランズベンチ HD 最高品質 平均 FPS 184.51 FPS 184.26 FPS 184.81 FPS 182.77 FPS 181.05 FPS
FF14 漆黒のヴィランズベンチ HD 最高品質 最低 FPS 69 FPS 69 FPS 69 FPS 69 FPS 68 FPS
FF15 ベンチ HD 高品質 平均消費電力 408.33 W 403.18 W 393.86 W 385.98 W 378.30 W
FF15 ベンチ HD 高品質 CPU 最高温度 83.6 ℃ 81.0 ℃ 78.1 ℃ 74.0 ℃ 69.6 ℃
FF15 ベンチ HD 高品質 スコア 12741 12639 12494 12615 12647
CINEBENCH R20 Single Thread 平均消費電力 121.79 W 118.79 W 116.21 W 110.44 W 107.29 W
CINEBENCH R20 Single Thread スコア 608 602 605 590 572
CINEBENCH R20 Multi Thread 平均消費電力 198.30 W 198.53 W 199.15 W 189.88 W 177.60 W
CINEBENCH R20 Multi Thread スコア 9617 9532 9377 8661 8664
x264 FHD Benchmark 平均消費電力 209.94 205.35 200.19 193.75 177.78
x264 FHD Benchmark FPS 84.33 FPS 82.61 FPS 82.40 FPS 80.42 FPS 77.23 FPS

“Ryzen 5950X購入&オフセット電圧調整を試みる” に対するコメントはありません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください